VIPカー好きの定番ベース車3選
高速道路を走っていると、ブオーンと高らかな音を立て、車高が低いまま通り抜けていく、ちょっと古いセダンを見たことがあるでしょう。このように、日本国産のセダンを改造した車は、VIPカーと呼ばれます。そのベース車は数多くありますが、今回は人気の定番ベース車3種類に絞って紹介します。
クラウンシリーズから生まれた本格VIPカー、18マジェスタ
18マジェスタは、トヨタが発売してきたクラウンシリーズをさらに高級化させたものとして、1991年からリリースしてきたクラウンマジェスタの4代目S180型です。これまでの3代のクラウンマジェスタからフルモデルチェンジが行われ、王冠のロゴでおなじみのクラウンエンブレムがなくなりました。まさに、「マジェスタ」として独立した最初の車といえます。
18マジェスタで大きく変わったのは、エンブレムにとどまりません。エンジンは従来のクラウンマジェスタの直列6気筒3,000ccから、V型8気筒DOHC4,292ccへと変わりました。このV型8気筒エンジンは、セルシオやソアラなどと共通しています。このセルシオやソアラもまた、VIPカーとして人気を博してきた車です。つまり、マジェスタとしてリニューアルされた途端に、VIPカーに最適なエンジン形式に変貌を遂げたのです。
18マジェスタは、カラーリングにも大きな変化が加えられました。従来のクラウンマジェスタは、車体の上部と下部でツートンカラーを敷いていましたが、18マジェスタから単色に変更されました。これは、ターゲットとなる年齢層を下げるトヨタの狙いによりますが、もともと単色で通っていたVIPカラーの流れに合致し、マジェスタはクラウンシリーズの中でも、VIPカーとして注目が集まるようになりました。まさに、VIPカー愛好家の間で大事件となったのですね。
今もなお進化が止まらないVIPカーの花形、レクサスシリーズ
VIPカー愛好家の間で、レクサスシリーズほど進化が注目されている車はありません。レクサスシリーズは、LS(セルシオ)、GS(アリスト)、SC(ソアラ)を中心に中古販売され、VIPカーとしてのその人気ぶりはとどまることを知りません。
レクサスは1989年よりアメリカで展開が始まった、トヨタの高級車ブランドです。レクサスには、見た目のよさと引き換えに燃費が悪く、価格も非常に高価な、高級車のそれまでの伝統を根底から変える狙いがありました。そして、BMWやメルセデス・ベンツに匹敵する安全性や品質を備えながらも、日本車の信頼性とリーズナブルな価格設定を実現させました。
1989年に初代レクサスLSが日本で発売されました。その当時はまだトヨタ「セルシオ」の別バージョンという位置づけで販売されていましたが、愛好家の間でレクサスブランドの人気の火付け役となったのは事実です。そして、2005年に、トヨタから独立して、日本でレクサスブランドが本格的にスタートしてからは、VIPカーの花形として定着しました。
レクサスシリーズのVIPカーの中でも圧倒的な人気を誇るのは、LSです。内装外装ともカスタマイズがしやすいため、VIPカーのドライバーで独自にカスタマイズしたLSが、次々とインターネット上で紹介されています。他にも、スポーティーさを増したGS、カプリオレのSCも根強い人気を博しています。また、VIPカーのレクサスの買取をする販売店は多く、カスタムしても値崩れしにくいという利点もあります。
今は名前の消えた、生きる伝説のVIPカー、30セルシオ
30セルシオは、トヨタが1989年に発売した初代セルシオから続くセルシオシリーズの3代目として、2000年から販売されてきたF30型です。セルシオシリーズは、アメリカの高級車ブランド、レクサスのLSが原型で、それをトヨタが日本式に販売した際に「セルシオ」という名前が付けられた経緯があります。2005年にレクサスが日本でトヨタとは別のブランドで本格展開されると、新型LSが販売され、取扱店もレクサスに完全に変わり、セルシオという名前は消滅しました。ただし、VIPカー愛好家の間で30セルシオは非常に人気が高いため、名前が消えた後も生きる伝説として君臨しているのです。
30セルシオは、従来のセルシオシリーズから、外観デザインが大きく変わりました。車体は丸みを帯びた優雅な印象に生まれ変わり、後部ドアには三角窓がつくようになりました。さらに、内装は高級ホテルの客室をモチーフにして、シートはジャンボジェット機のファーストクラス用シートを参考にしたデザインとなりました。
VIPカーは、外装のみならず内装も応接間をモチーフに高級感を出すことが特徴です。30セルシオのこうしたモデルチェンジは、まさにVIPカーのコンセプトに合致し、愛好家の間で一気に人気を博するようになりました。何より、曲線型のスタイルが非常に目を引きます。30セルシオが生きる伝説としてあり続けられる理由は、そこにあるのです。